やってはいけない!
「中小企業の事業承継」シリーズ<その6>

自社株問題とその解決方法

一般社団法人事業承継協会認定 事業承継士 渡邊 司
今回は、質問の多い自社株対策のオーソドックスな例のひとつとして『自己株式を活用した納税資金対策』について考えて見ましょう。
充分な納税資金対策が出来ずに突然先代の社長が亡くなり、後継者が自社株を相続したというケースです。

後継者が自社株を相続した時には、株価が高騰しており納税資金がないと言う事態が発生します。
その際に自社株を会社に売却した資金を基に、相続税の納税をするといった方法があります。このためには、先代の社長の死亡退職金の支払いの他に、会社としての自己株式を買取る資金も必要であるという事が理解して貰えると思います。

ちなみに、会社へ株式を売却した場合の税務は、『みなし配当として総合課税(最高約55%)』される部分と『株式譲渡損益として申告分離課税(約20%)』される部分に分かれます。
相続税の申告期限から3年以内に売却した場合は、譲渡所得としてのみ課税され、かつ取得費加算の適用もあるため、税負担はかなり軽くなるはずです。

さらに、相続人が直接自社に株式を買取ってもらうのではなく、関連会社(6ヶ月以上継続して自社を25%以上保有している会社)に緊急避難として買取ってもらい時期をみて金庫株として改めて自社が買取る事により、株式譲渡損益として約20%の納税をするだけになります。
これは、いわば相続人が他の会社に有価証券を売却するという行為のためで、株式譲渡の損益だけになってしまうからです。

関連会社は株式の時価が取得価格になり、それを自社に売却する時は譲渡損益とされることは変わりませんが、法人株主に対するみなし配当は受取配当金の益金不参入が適用されるため課税されることがないのです。

一定期間とはいえ、あいだに関連会社をかませるだけで驚くほどの税効果が期待できることになります。但し、「自己株式として取得されることを予定して取得した」という事実認定がどのような判断基準によって行われるのかということが、実務上、問題となるという点にも留意する必要がありますので、活用の際には専門家にしっかり相談するだけでなく、「資金繰りのために関連会社に買取ってもらった」、「納税資金が捻出出来なかった」などの合理的理由が必要となる事も忘れてなりません。

最後にこのスキームの活用を考える際には、株価をいくらで買取るのか、それに対する税務と課税が生じるのかを、必ず、専門家とシミュレーションしたうえでプランを作成する必要があります。
 
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